
子どものスポーツ中の熱中症対策|症状の見分け方・予防・応急処置
2025年5月更新
子どもが熱中症になりやすい理由
子どもは大人に比べて体温調節機能が未発達であり、同じ気温・同じ運動量でも熱中症になりやすい状態にあります。また、身長が低いため地面に近い層の熱気(照り返し)の影響を強く受けます。
子どもが特に注意すべき理由
- 汗をかく機能(汗腺)が大人より少ない
- 体重当たりの体表面積が大きく、外気温の影響を受けやすい
- 「のどが渇いた」と感じる前にすでに脱水が始まっていることが多い
- 熱中症の危険を自分で判断・訴えられないケースがある
熱中症の症状と重症度の見分け方
| 重症度 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 軽度(I度) | めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返り・大量の汗 | 涼しい場所に移動・水分・塩分補給 |
| 中度(II度) | 頭痛・気分の悪さ・嘔吐・倦怠感・体のだるさ | 医療機関への受診を検討。自力で水分補給できれば補給 |
| 重度(III度) | 意識障害・けいれん・まっすぐ歩けない・高体温(40度以上) | すぐに119番。体を冷やしながら救急車を待つ |
※ 日本救急医学会の熱中症分類を参考に作成
WBGT指数と運動の目安
WBGT(湿球黒球温度)は気温・湿度・輻射熱を総合的に考慮した指数です。環境省や日本スポーツ協会では、WBGT値に応じた運動の指針を定めています。
| WBGT値 | 危険度 | 運動の目安 |
|---|---|---|
| 28度未満 | 注意 | 積極的な水分補給を行いながら実施可 |
| 28〜31度 | 警戒 | 積極的な休憩・水分補給。激しい運動は控え目に |
| 31〜35度 | 厳重警戒 | 激しい運動は原則中止。短時間のみ実施する場合は万全の対策を |
| 35度以上 | 危険 | 屋外での運動は原則中止 |
熱中症を防ぐ水分補給のポイント
喉が渇く前に飲む
15〜20分ごとに、喉が渇いていなくても一口〜コップ半分の水分を補給します。「飲みなさい」と声をかけ、子ども自身が習慣づくよう促しましょう。
運動前から水分を摂る
練習・試合の1〜2時間前から水分をしっかり摂る習慣をつけます。練習直前だけではすでに遅い場合があります。
長時間運動にはスポーツドリンク
1時間以上の運動では、塩分(ナトリウム)と糖分を含むスポーツドリンクが水だけより効果的です。ただし糖分の過剰摂取に注意し、薄めて使用するのも選択肢です。
まとめ
熱中症は予防できる病気です。WBGT指数を事前に確認し、こまめな水分補給と適切な休憩を徹底することで大部分のリスクを避けられます。子ども自身が「暑い・だるい・気分が悪い」と訴えたときは必ず活動を止め、涼しい場所での休憩と水分補給を優先してください。重症サインがある場合は迷わず119番です。
よくある質問
熱中症と夏風邪はどう見分ければ良いですか?
熱中症は暑い環境・運動後に急に発症し、涼しい場所で安静にすると改善することが多いです。夏風邪は発症がゆっくりで、くしゃみ・鼻水・のどの痛みなどが伴います。判断が難しい場合や意識がおかしい場合はすぐに医師に相談してください。
子どもが「暑くても平気」と言って水を飲まない場合は?
子どもは熱中症になっていても「大丈夫」と言い続けることがあります。親・指導者側が定期的に休憩時間を設け、水分補給を強制的に組み込むことが重要です。「飲みなさい」ではなく「いまみんなで休憩するよ」と声をかけると飲みやすくなります。
保冷剤や冷却タオルはどこに当てると効果的ですか?
首の後ろ・脇の下・足の付け根(鼠径部)は太い血管が皮膚に近いため、これらを冷やすと全身の体温を効率よく下げられます。冷水につけたタオルを絞って当てるだけでも効果があります。
出典・参考資料
- 文部科学省(スポーツ庁委託)「体力・運動能力調査報告書」— 新体力テスト8種目の全国平均値データ
- 環境省「熱中症予防情報サイト」— WBGT指数の基準値・熱中症の症状分類
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」
- ※ 運動発達・スポーツ科学に関する内容は、スポーツ科学分野で広く知られた知見をもとに当サイトが解説したものです。