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女の子の運動離れは本当か|データで見る「運動が好き」の男女差

2026年7月更新

「最近、女の子の運動離れが話題になっている」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。本当のところはどうなのでしょうか。スポーツ庁が令和7年12月に公表した「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」のデータを見ると、その実態が浮かび上がります。

この調査は全国の小学5年生と中学2年生を対象にした悉皆調査です。単なる運動能力の測定ではなく、「運動やスポーツをすることが好きか」という子どもたちの気持ちも調べています。その結果から、女の子の意識の変化が明確に見えてきます。

データで見る「運動が好き」の割合

「運動やスポーツをすることは好きですか」という質問に、どの程度の子どもたちが「好き」と答えたのか、その数字を見てみましょう。

学年・性別好きやや好きややきらいきらい
小5男子72.8%20.7%4.5%2.0%
小5女子54.1%31.7%10.0%4.2%
中2男子66.0%24.9%6.1%2.9%
中2女子43.0%34.2%15.4%7.4%

注目すべき数字

  • 男子の変化:小5から中2で72.8%→66.0%(6.8ポイント低下)
  • 女子の変化:小5から中2で54.1%→43.0%(11.1ポイント低下)
  • 中2時点の差:女子43.0% vs 男子66.0%で、23ポイントの開き

小学5年生時点でも男女の差(18.7ポイント)は顕著ですが、中学2年生になると、その差はさらに広がります。女の子の「運動離れ」は、単なる言い伝えではなく、データにはっきり表れているのです。

運動に費やす時間に見る大きな差

「好き」と言う気持ちと、実際に運動に使う時間は、どのような関係にあるのでしょうか。体育の授業を除く1週間の総運動時間を見ると、さらに大きな男女差が浮かびます。

小学5年生の週間運動時間(体育の授業を除く)

男子 522.93分(1週間)
女子 315.17分(1週間)
差: 週207.76分(約3時間28分)

女子の運動時間は男子の約60%にとどまっています。これは「運動が好き」という気持ちの差だけでなく、実際の行動にも反映されているということです。

では、どの曜日に差が大きいのでしょうか。曜日別に見ると、特に休日の差が顕著です。

曜日男子(分)女子(分)差(分)
月曜52.1334.9817.15
火曜55.2736.0319.24
水曜61.4441.8219.62
木曜57.1337.9819.15
金曜56.2038.9617.24
土曜125.5268.0557.47
日曜120.1158.9161.20

休日の過ごし方に大きな差

平日はどの曜日も男女差は17〜20分程度ですが、土日になると一気に57〜61分の大きな差が開きます。男子が外遊びやスポーツをしている間に、女子は別の時間の使い方をしているということが推測されます。

スポーツ庁も「女子で減少傾向」と明言

このデータの背景にある傾向について、スポーツ庁は調査報告書で以下のように述べています。

「『運動は好き』と答えた児童生徒は、小中学校男子で増加傾向、小中学校女子で減少傾向である。」

出典: スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について(概要)」

さらに、体育の授業そのものについても同じ傾向が見られます。

「『体育・保健体育の授業は楽しい』と答えた児童生徒は、小中学校男子で増加傾向、小中学校女子で減少傾向である。」

出典: 同上

男子では小学生から中学生にかけて「運動が好き」という気持ちが増えているのに対し、女子では減っているのです。授業の楽しさについても、同じ方向性が見られます。

体力合計点の推移から見る実態

このような気持ちや行動の変化は、実際の体力データにも表れています。小学5年生の女子の体力合計点の長期推移を見てみましょう。

年度体力合計点
平成30年度55.90(ピーク)
令和元年度55.59
令和3年度54.66
令和4年度54.32
令和5年度54.29
令和6年度53.93(最低)
令和7年度53.98

平成30年度の55.90がピークで、以来一度も戻っていません。令和6年度の53.93が最低でしたが、令和7年度はわずかに0.05点上がっただけです。男子が徐々に回復しているのとは対照的に、女子の体力合計点は足踏み状態が続いています。

どの運動能力が落ちているのか

女子の体力が全体的に低下しているのであれば、すべての種目で悪くなっているはずです。しかし、実際には種目によって傾向が異なります。平成20年度と令和7年度を比較してみましょう。

種目(小5女子)平成20年度令和7年度変化
ソフトボール投げ14.85 m13.10 m↓ 1.75 m
握力16.45 kg15.61 kg↓ 0.84 kg
50m走9.64 秒9.77 秒↓ 0.13秒
立ち幅とび145.77 cm142.39 cm↓ 3.38 cm
長座体前屈36.64 cm38.17 cm↑ 1.53 cm
上体起こし17.63 回18.36 回↑ 0.73 回

二つの傾向

  • 低下:投げ能力(ソフトボール投げ)、筋力(握力)、瞬発力(50m走・立ち幅とび)が下がった
  • 向上:柔軟性(長座体前屈)と筋持久力(上体起こし)は上がった

スポーツ庁も、種目別の傾向として「『ボール投げ』は女子で横ばい」「『握力』は女子で低下傾向」と述べています。運動離れによる「筋力や瞬発力の低下」と、別の活動(ヨガやダンスなど)による「柔軟性の向上」という、二つの流れが同時に進んでいる可能性が考えられます。

なぜ差が生まれるのか——調査からは分かりません

ここまでのデータから「女の子の運動離れ」が現実であることは明らかです。しかし「なぜそんなことが起きているのか」という原因については、この調査からは直接的な答えは得られません。

原因の仮説は、この調査からは検証できません

「思春期だから」「体育の授業が原因」「社会的プレッシャーがある」といった説明は、ネット上でよく見かけます。ですが、これらはすべて推測です。本調査は「何が起きているのか」を示していますが、「なぜ起きているのか」までは特定していません。

原因を知るには、別の調査や研究が必要になります。当サイトでは、根拠のない理由付けは避け、原典のデータが示すものだけをお伝えしています。

ただ、データから一つ推測できることがあります。「運動時間が長い子ほど、体力合計点が高くなる傾向にある」というのが、スポーツ庁の報告です。であれば、休日の運動時間を増やすことが、体力向上の第一歩になる可能性があります。

親ができることは何か

調査データだけからは答えが出ませんが、スポーツ庁は次のような関連性を指摘しています。

「『運動時間が長い』児童生徒ほど、体力合計点が高くなる傾向にある。」

出典: スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について(概要)」

また、別の重要な指摘もあります。

「『運動は好き』と回答した児童生徒は、それ以外の児童生徒と比べ体力合計点が高い。」

出典: 同上

つまり、「運動をする」だけでなく「運動を好きになる」ことが、体力向上につながるということです。だからこそ、「勉強だから」という理由で運動を強制するのではなく、本人が「やってみたい」と思えるスポーツを見つけることが大切かもしれません。小学5年生から中学2年生のあいだに、女の子が運動から離れていく流れを変えるには、本人の気持ちに寄り添うことが第一歩なのではないでしょうか。

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出典・参考資料

  • 文部科学省(スポーツ庁委託)「体力・運動能力調査報告書」— 新体力テスト8種目の全国平均値データ
  • スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果 https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/kodomo/zencyo/1411922_00014.html
  • 同 調査結果の概要(令和7年12月) https://www.mext.go.jp/sports/content/20251217-spt_sseisaku02-000046317_000101.pdf
  • 同 小学校児童質問紙 https://www.mext.go.jp/sports/content/20251216-spt_sseisaku02-000046317_001002.xlsx
  • 同 中学校生徒質問紙 https://www.mext.go.jp/sports/content/20260113-spt_sseisaku02-000046317_0000102.xlsx
  • 同 小学校実技結果・経年変化 https://www.mext.go.jp/sports/content/20251216-spt_sseisaku02-000046317_000801.pdf
  • ※ 運動発達・スポーツ科学に関する内容は、スポーツ科学分野で広く知られた知見をもとに当サイトが解説したものです。
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